三大始祖だけど、3強じゃなくて1強
すべてのサラブレッドは、その血を辿ると3頭の先祖に行き着くと言われています。言われているというか、そうなっています。その3頭の種牡馬を三大始祖なんて言います。
三大始祖とは、
- ダーレーアラビアン
- ゴドルフィンアラビアン
- バイアリーターク
の3頭です。
ですが、三大始祖とか言いつつ、今主流血脈として残っているのはほとんどがダーレーアラビアンを先祖とするラインであり、ものすごい数の支流を生み出しています。他の2頭は限られた馬しか発展出来ませんでした。
ゴドルフィンアラビアンはマッチェム系というのがそこそこ知られており、日本ではサニングデールやカルストンライトオというスプリントGⅠを勝つ馬を送り出しています。
バイアリータークはヘロド→マイバブー→パーソロンときてシンボリルドルフとメジロマックイーンが日本では馴染み深いところ。ですが、もはや勢いはなくかなり苦しいです。
4大系統を区別する
父系を理解して、はるか昔の種牡馬について語れるようになってもモテないし、引かれるし、かといってプロとしてやっていける程貴重な知識でもないのであまり詳しくなる必要もないと思います。馬券なんてむしろ当たらなくなるでしょう。
なんとなく、以下の4大系統の区別がついていればいいんじゃないでしょうか。
- ノーザンダンサー系
- ミスタープロスペクター系
- ナスルーラ系
- ターントゥ系
ノーザンダンサー系
ダビスタをやったことがある人なら馴染み深い系統でしょう。現代競馬の中でもかなりの多数派、最大派閥と言っても良いです。
最近競馬を見始めた人にとってはちょっと印象が薄いかもしれませんが、競馬の血統を語る上では欠かせない大事な血脈です。
主にヨーロッパで流行っている血で、代表的な種牡馬はサドラーズウェルズ、ダンチヒ、ニジンスキーなど。凱旋門賞を勝っているのはだいたいこの系統。ヨーロッパの競馬場の芝は日本に比べて深い(長い)ので、走るのにも力が要ります。
ですから素軽いスピードというよりも粘り強いスタミナを豊富に持った馬が多いのが特徴です。そのため、日本の綺麗な馬場では切れ負けする傾向にあります。
ノーザンダンサー系は芝だけに留まらずアメリカのダートで活躍している者もおり、ヴァイスリージェント系やストームバード系が有名。クロフネはヴァイスリージェント系に属しています。他にはディープインパクトぐらいの世代が種牡馬になってからよく母父で見るようになったストームキャットなどがいますね。
なんだかんだで代を経ると芝にも対応出来ています。
ミスタープロスペクター系
アメリカのダートで頑張っているのはこの系統です。
日本の馬よりもアメリカの馬のほうが、マッチョでガツガツして馬力があります。芝の場合は高速馬場をワンペースで押し切るような形が得意です。
日本ではフォーティーナイナー系が有名。サウスヴィグラスはダート界のサンデーみたいなもんです。
芝で活躍したアドマイヤムーン、スイープトウショウ、ラインクラフトなんかもフォーティナイナー系です。
ヨーロッパの芝にも対応できたキングマンボ系は日本でも大活躍。キングカメハメハをはじめ、ダービー馬エイシンフラッシュの父キングズベストといった種牡馬が頑張っています。
ミスプロ系も多岐に渡るので一概にこの産駒は芝、あっちはダート、と決めつけられないものですが、得意分野はそれぞれ分かれています。
ナスルーラ系
ダビスタの影響でナスルーラと言えば、気性難と思っている人が多いかもしれません。現実世界はちょっと違うので考えの修正が必要です。
めんどくさいことにナスルーラ系は国によって様々な形で発展しており、それぞれ違う色を見せているので分けて考える必要があります。
ヨーロッパ・グレイソヴリン系、ネヴァーベンド系
欧州3冠馬のミルリーフ(子孫にはミルジョージやミホノブルボン)、トニービンの先祖として有名なグレイソヴリンはナスルーラの子どもです。
日本の競馬だとタフな展開になる競馬、みんながスタミナの限界まで頑張らないといけないGⅠで威力を発揮します。
アメリカ・ボールドルーラー系
3冠馬シアトルスルーを輩出しているように、ものすごくアメリカに馴染んでいる血です。
最近の日本ダート界ではエーピーインディ系が有名。パイロ、プルピット、シニスターミニスターとかがこの系統にあたります。
日本・プリンスリーギフト系
トウショウボーイ~ミスターシービー父子、サクラユタカオー~サクラバクシンオー父子が有名。
とにかくスピードがある血統です。今ではもうサクラバクシンオー、あとは子どものショウナンカンプぐらいしか見る機会がありません。
ターントゥ系
サンデーサイレンスがこの系統に属します。あとはブライアンズタイムやシンボリクリスエス、グラスワンダーの先祖であるロベルト。
日本の芝にすごく合うのでしょうね。
ちょっと古いですが、日本の名マイラー・ニホンピロウイナーもこの系統。その父スティールハートは産駒にスピード能力が伝わりやすいと言われ、ダビスタで大人気でした。
まとめ
大雑把な特徴を把握しておいて、あとは個別に分析。
そんなもんです。詳細に迫るより雰囲気が大切だと思います。