2017年オークスの最も大切な問題のひとつは、ソウルスターリングはどうすんの?ということです。
各新聞の見出しも、「ソウルスターリング女王奪還なるか」的なものが多い。武豊人気でリスグラシューが1番人気になりそうですが、ソウルスターリングもまだまだ怪物扱いが続いているので、このまま世論が偏ることを願いたいです。
この記事では、配当妙味と血統やコース適正、体調面からソウルスターリングの取捨を考えてみます。
ソウルスターリングの不安点
藤沢厩舎はオークスにこだわらない、かもしれない
藤澤厩舎のモットーは、一勝より、一生です。
目の前のレースを勝つことよりも、長く無事に現役生活を送ることを大切にしています。「どんな馬にも素質はある」という考えで、若いうちは気性が幼かったり身体ができていなくて成績が残せなくても長く健康でいれば変わるチャンスがある、だからじっくりやる。
きっかけは、ヤマトダマシイという素質馬をダービーに出そうと無理にレースに出して故障させてしまったことだそうです。
つまり、いくらソウルスターリングがクラシックを勝つチャンスがあるといっても、がむしゃらに取りに行くことはしないということ。当然、最善は尽くすでしょうけども、他陣営に比べて「何が何でもオークスを獲る!」という意識は低いはず。
その証拠に桜花賞前、「これで阪神への輸送が3回続くけど、なんとか耐えて欲しい」という調教師のコメントがありました。そんなに体調面に心配があるなら、クラシックを本気で獲りたいなら、チューリップ賞じゃなくて別のステップレースを使っていたと思うのですが。
他の馬との比較で考えれば、体調面、仕上げで優位に立つということは考えにくいです。
血統面での不安はある?
父フランケルは言わずと知れたヨーロッパ最強馬。無敗、しかもほぼ全部圧勝。2000m以下のレースばかり使われていましたが、父はガリレオなので特に問題ないでしょう。母スタセリタはディアヌ賞(仏オークス2100m)、ヴェルメイユ賞(2400m)などを勝っています。スタセリタの父Monsunは、2011年2着ピュアブリーゼを出しています。
ということで距離適性云々を理由に軽視することは無理があります。
ただ、問題は父フランケルがノーザンダンサー系であるということ。この系統はオークスでは勝ち馬どころか連対も皆無。例外もいないことはありませんが、この人気で例外であることに賭けるのはバカバカしい。
東京2400mはなんだかんだのキレ勝負なのでサンデー系にやられる可能性が高いです。東京2400mと関連性が高い阪神1600mの桜花賞でコロッとダイワメジャー産駒負けてしまいました。2歳時の阪神JFは素質だけで圧倒できても、みんな本気になってくる3歳春の時点で追いつかれてしまったのは気がかりです。
かといって配当妙味を狙って無理に切るのはおすすめできません。オークスは2400mということもあり、血統に注目が集まってハーツクライ産駒のアドマイヤミヤビとリスグラシューの評価が高まることになるでしょう。しかし、そんなの誰でも思いつく作戦ですし、想像以上に配当がつかくなってしまう気がします。
とりあえず、向いていないと分かり切っている血統の馬をわざわざ過大評価する必要はないのでは。
東京コース。舞台適正は?
ソウルスターリングに2歳時にアイビーS(東京1800m)を勝っています。しかも2着馬は皐月賞2着のペルシアンナイト。
上がり最速、しかも33秒9ですから、オークスでも大丈夫そうな気がします。東京1800mはダービーと関連性が高い共同通信杯と同じコースですし。
しかし、負かしたペルシアンナイトはハービンジャー産駒。キレがあることの裏づけとしては寂しい。2歳戦のスローなレースだったらサンデー系の馬じゃなくても33秒台は出ます。
加えてもうひとつ気になるのが、ソウルスターリングは勝つときにいつも最後は内に切れ込む癖があること。外を回らされた桜花賞でだらしなく負けてしまったのを見てもラチに頼りたいタイプであると考えられ、比較的外枠有利なオークスでは不安がつきまといます。
まとめ
厩舎、血統、ラチ頼み。
実力差が少ないメンバーで、みんなが超本気で狙ってくるレース。これといって他馬より秀でた要素を持っていないという事実。
「やっぱり強かった!信じてたよ!」的な、希望的観測は危ないかもしれませんよ…。