キングカメハメハは何でも屋です。
ダートだろうが、短距離だろうが、重馬場だろうがなんでもこなします。
ただ真面目過ぎるので疲れには弱い。
ついにドゥラメンテがダービー制覇。まだまだディープインパクトには負けていられません。
キングカメハメハの血統表(ニトロ指数付)
ニトロ指数:スピード5、スタミナ5、ダート0
M3タイプ:M系(S(CL)、SC(L))
父系:キングマンボ系(ミスタープロスペクター系)
母父系:ノーザンダンサー系
母母父系:トウルビヨン系
代表産駒
・ロードカナロア
・ドュラメンテ
・ローズキングダム
・アパパネ
・ホッコータルマエ
キングカメハメハ産駒の特徴。強みと弱点
・バランスが良く、なんでもこなす
・母の成績を再現する
・疲労に弱い
・切れ勝負の馬は少しずつ衰える
バランスが良い
キングカメハメハ産駒は基本的になんでも出来ます。3000mを超えるようなレースでは実績がありませんが、それ以外はなんでもこなします。
ダートだろうが、重馬場だろうが、タフな競馬も、上がりの速い競馬もなんでもこい。バランスの良さではディープインパクトを凌いでいます。
その分、極端にペースが早い短距離ダートとか、究極の上がりを求められる東京や京都の舞台などでは、サンデー系に足元を救われることもあります。
疲労に弱い
キングカメハメハ産駒は疲労に弱いため、間隔を詰めて使うローテーションは良くありません。
前哨戦を後方一気で勝ってしまうようだと、本番では大きくパフォーマンスを落とすことになります。
心身ともに疲労が残るレースをした場合、次への影響が大きいのです。
ドゥラメンテが皐月賞、ダービーと激しいレースを連続してこなしましたが、結果骨折。馬のケガは、種牡馬のパターン、ジンクスを打ち破ったときに起きてしまうことが多いです。
切れ勝負の馬は少しずつ衰える
若い頃は、馬群を縫って強烈なキレで勝負を決めるような馬は、年齢と共に衰えていきます。
ローズキングダムが良い例です。
ローズキングダムは初重賞、初GⅠを順調に勝ち上がり、次々と舞台が変わるクラシックでは常に馬券圏内を争う走りをしました。
そして、初の古馬戦となったジャパンカップでは優勝(1位入線のブエナビスタが降着)。ここをピークに次第にパフォーマンスを落としていきました。
しかも、2歳時は相手を力でねじ伏せるような横綱相撲だったのに、3歳以降は素軽いキレ勝負のイメージが強い。若い頃は、馬群に突っ込むタフな精神も、年齢共に軽い方向へシフトしてしまいます。
最後に重賞を勝ったのは、休み明けで挑んだ高速馬場の京都大賞典。軽い馬場で、フレッシュな精神状態であったからこそです。
その後のタフなGⅠでは、箸にも棒にもかからないレースぶり。精神的にプレッシャーの厳しいレースにはもう耐えられなかったです。キングカメハメハの典型的なパターンといえます。
馬の生涯の戦績を見て分析する際、「早熟」「晩生」という言葉を使われることが多いですが、精神的な構造に注目すると、勝ったり負けたりの晩年の走りに納得のいく答えを見つけることが出来ます。
母の成績を再現する
キングカメハメハはキングマンボ系(ミスタープロスペクター系)の種牡馬です。
サンデーの血を一滴も持たないので、サンデー産駒の牝馬に数多く付けられています。
面白いことに、その子どもはみんな、母親の成績を再現するような産駒がほとんどです。
GⅠ勝ちのない牝馬の仔はやはりGⅡ止まり。勝てたとしても、大きくそれを上回る成績になることはありません。
サンデーサイレンス産駒の牝馬は重賞級の馬が多かったのです。しかし、そのほとんどはGⅠになるとどうひっくり返っても無理、というような馬ばかりでした。
キングカメハメハは、母親の能力に大して非常に律儀なので、産駒は大きなサプライズがないのが基本です。
A級のGⅠを勝つにはトニービンが必要?
皐月賞、ダービーの2冠馬ドゥラメンテは、エリザベス女王杯を連覇したアドマイヤグルーヴの仔です。これだけだと、トゥザヴィクトリーの仔である、トゥザグローリーやトゥザワールドと血筋的には大して変わらないように思えます。
しかし、ドゥラメンテのお婆さんのエアグルーヴは牡馬相手に天皇賞秋を勝ったエアグルーヴ。そのまたお母さんはオークス馬のダイナカール。日本のクラシックディスタンスに強い血統です。
加えて、エアグルーヴの父トニービン(グレイソヴリン系)の血が大舞台での底力を与えているように思えます。
先日宝塚記念を勝ったラブリーデイもトニービンを持っていますし、母父のダンスインザダークは、ニジンスキーが入っています。
金杯~京都記念~阪神大賞典~天皇賞春~鳴尾記念~宝塚記念という春のローテーションも、普通のキングカメハメハ産駒だったらあっさりヘコタレてしまいそうなものです。
これほどタフな心身を持ち合わせているのは、母方の血の影響であると考えざるを得ません。
ヒットザターゲットとは何なのか
ヒットザターゲットが初めて重賞を勝ったのは4歳時の新潟大賞典。5歳時には小倉大賞典と京都大賞典を制覇。6歳になると勝ち切れないものの、G1でも掲示板に載るようになりました。そして7歳になって目黒記念制覇。
ムラがあるタイプですが、しぶとく衰えも見せず重賞レベルのレースを走り続けています。
私の見解では、秘密は母父のタマモクロス(グレイソヴリン系)にあるのではないかと思います。
軟弱で、歳と共に戦う意欲失う母父サンデーの産駒に比べ、母方にグレイソヴリン系の血を持つ馬は衰えづらい。
サンデーサイレンスだけでは足りない、重量感、深み、豊かさを供給する血があれば、キングカメハメハ産駒はもう一段上のレベルの仔を出せるのではないでしょうか。
「キングカメハメハは、心身の疲れさえなければ身体能力は高いので何度でも復活する。」という話もあります。
まとめ
ドゥラメンテや、ラブリーデイ、ヒットザターゲットはやや例外です。
普段の馬券戦略としては、
・疲れが溜まると凡走しやすい
・バランスは良いけど、極端な競馬では誰かにやられる
・キレ勝負の馬は年齢と共に馬群を割れなくなるので成績が落ちる
この3つを抑えていれば、無駄な馬券を買わずに済むでしょう。